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無呼吸の論文一覧

~平成28年7月

平成28年9月~

最近の睡眠時無呼吸症候群に関して気になった論文の骨子と院長の感想を載せます。
医療関係者を念頭に書いていますので、わかりにくいかもしれませんがご勘弁ください。

28年9月 更新
Oral Appliance Therapy in Patients With Daytime Sleepiness and Snoring or Mild to
Moderate Sleep Apnea: A Randomized Clinical Trial.
Marklund M, Carlberg B, Forsgren L, Olsson T, Stenlund H, Franklin KA
JAMA Intern Med 175:1278-85,2015
眠気のあるAHI30以下のOSAS 96名にOAと偽装置を4カ月装着、ESSとSF-36は有意差
でなかったが、AHIといびきは有意に軽減した(ESS11以上はOA群で53%から24%に、偽装
置群で54%から40%に、AHI5以下はOA群49%、偽装置11%で達成)
OAのしっかりとした効果判定の研究はほとんどなかったと思います。OAで自覚症状に対して
有意差をだすのはかなりの症例数が必要なのでしょうか?

29年3月 更新

CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea.
McEvoy RD, Antic NA, Heeley E, Luo Y, Ou Q, Zhang X,
Mediano O, Chen R, Drager LF, Liu Z, Chen G, Du B, McArdle N,
Mukherjee S, Tripathi M, Billot L, Li Q, Lorenzi-Filho G, Barbe F,
Redline S, Wang J, Arima H, Neal B, White DP, Grunstein RR, Zhong N,
Anderson CS; SAVE Investigators and Coordinators.
N Engl J Med 375:919-31 2016
心血管疾患の既往を持つOSAS2717名(61歳 男性81% AHI29 BMI29)をCPAP群と
非CPAP群に分けて3.7年フォローしたが、再発はCPAP群で17%、非CPAP群で15%と有意差が
見られなかった。CPAPアドヒアランスは3.3時間で、4時間以上使用群のみの比較でも
同様の結果だった。

Effect of Positive Airway Pressure on Cardiovascular Outcomes in Coronary Artery
Disease Patients with Nonsleepy Obstructive Sleep Apnea.
The RICCADSA Randomized Controlled Trial.
Peker Y, Glantz H, Eulenburg C, Wegscheider K, Herlitz J, Thunström E.
Am J Respir Crit Care Med. 194:613-20. 2016
PCIを受けた眠気のないAHI15以上のOSAS224名をCPAP群と非CPAP群に分け57か月
フォローしたが、再発はCPAP群で18%、非CPAP群で22%と有意差が見られなかった。
CPAPを4時間以上使用群では他群に比べ有意差が見られた。

CPAPの二次予防効果が否定された結果が二つ続きました。
SAVE研究では眠気が強い患者を除外したり、簡易検査での診断だったり
つっこみどころはあるのですが、一次予防には効果があっても二次予防には
CPAPは効果が少ないと素直によむべきでしょうね。

Comparison of diagnostic reliability of out-of-center sleep tests for obstructive
sleep apnea between adults and children.
Suzuki M Furukawa T Sugimoto A Kotani R Hosogaya R
Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 94:54-58 2017
成人686名と子供119名のSpO2モニターによる3%ODIとPSGによるAHIの比較、
成人ではODI20のAHI20以上になる陽性的中率が 97%、ODI5のAHI20以下になる
陰性的中率が92%に対して、子供ではODI25のAHI5以上になる陽性的中率が91%、
ODI10の陰性的中率はAHI10以下で78%、AHI1以下で10%だった
鈴木雅明先生の仕事で実地臨床ではとても役に立つデータです。
成人ではSpO2モニターのみでCPAPの導入と重症SASの除外ができるが、
子供ではSpO2モニターでは診断や除外ができないということですね。
子供は鼻づまりなどでの変動が大きいので一度の検査で方針を
決めるのは難しいですし、何度もPSGをするのも難しいし、悩ましいですね。

29年9月 更新

Association of Positive Airway Pressure With Cardiovascular Events and Death
in Adults With Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis.
Yu J, Zhou Z, McEvoy RD, Anderson CS, Rodgers A, Perkovic V, Neal B
JAMA. 11;318:156-166 2017
PAP使用と心血管疾患の発症死亡の関係をみた10論文のメタアナリシスで
PAP治療で心血管疾患の発症死亡は低下しなかった。
SAVE研究の著者らによるメタアナリシスですが、一次予防と二次予防、
OSASとCSAS、CPAPとASV、の混在や2つの論文で大半のデータなどの問題があり
論文の結論には同意しかねます。ただ、結論だけが一人歩きすることを危惧します。

Kleine-Levin syndrome elicited by encephalopathy with reversible splenial lesion.
Takayanagi M, Okabe S, Yamamoto K, Komatsu J, Suzuki R, Kitamura T, Ohura T.
Pediatr Int. 59:929-931 2017
インフルエンザ脳症後の反復性過眠症の症例報告ですが、最初のエピソードでは
脳梁膨大部病変が見られ、2回目以降のエピソードではMRIで所見みられませんでした
自分も関与した症例報告(高柳先生、ほとんどお手伝いできず、ごめんなさい)ですが
反復性過眠症の成因にもつながる重要な報告と思います。

令和元年5月 更新
ずっと更新しておらず、年号も令和になりました。
10連休いただきましたので久しぶりに更新しました。

Telomere Length and Risk of Major Adverse Cardiac Events and Cancer in Obstructive
Sleep Apnea Patients. Polonis K, Sompalli S, Becari C, Xie J, Covassin N, Schulte PJ,
Druliner BR, Johnson RA, Narkiewicz K, Boardman LA, Singh P, Somers VK
Cells 8:381 2019
Mayo Clinicからの報告でSAS疑いでPSGしたnon-OSA88名 OSA73名を12.7年フォロー
主要心血管イベントは1000人年あたりnon‐OSA4.8 OSA10.8も有意差なし,癌は
non‐OSA4.9 OSA16.0で有意差あった。テロメア長はPSG結果と予後とも有意差なかった。
以前の報告同様に心血管イベントより癌の方にOSAの影響が強くでるという結果でした。

令和2年1月 更新
年末年始のお休みで久しぶりに更新しました。

Patients with OSA are perceived as younger following treatment with CPAP.
Yagihara, Lorenzi-Filho G, Santos-Silva R
Chest 2019 156:553-561.
30名の重症OSAS(46±9歳)でCPAP治療1か月後とプラセボ治療後に顔写真を撮影、704名が写真を
見て年齢を予測、検査前53.9歳 CPAP後47.9歳 プラセボ後49.8歳と、CPAP後に有意に若く見えた。
ブラジルで行われたCPAPのコンプライアンスを高めるための研究だそうで、当院のCPAP外来でも利用させて
いただきます。

Continuous positive airway pressure versus standard care for the treatment of people
with mild obstructive sleep apnoea (MERGE): a multicentre, randomised controlled trial.
Wimms AJ, Kelly JL, Turnbull CD, McMillan A, Craig SE, O'Reilly JF, Nickol AH, Hedley EL
Decker MD, Willes LA, Calverley PMA, Benjafield AV, Stradling JR, Morrell MJ,
MERGE trial investigators
Lancet Respir Med
233名の軽症OSASをCPAP群と非CPAP群に分け、3か月後のSF-36バイタリティスケールを比較、
CPAP群+7.5 非CPAP群±0.0でCPAP群で有意にバイタリティスケールが改善した。
軽症OSASにおけるCPAPの自覚症状に対する効果をみた報告です。日本では保険適応と
ならない軽症OSASですが、CPAPで自覚症状の改善が得られていますね。

令和2年2月 更新

Ten-year adherence to continuous positive airway pressure treatment in patients
with moderate-to-severe obstructive sleep apnea.
Sleep Breath. 2020 Feb 19
Tsuyumu M, Tsurumoto T, Iimura J, Nakajima T, Kojima H
東京歯科大市川総合病院でCPAPを開始した181名を10年フォロー、56名がドロップアウトした。
ドロップアウトしなかった125名中54名がCPAPを継続、16名は改善し中止 47名が転院した。
BMIと当初1か月の使用率がドロップアウトと関連していた。
当院でも同様の検討を1308名のCPAP患者さんでして2年前に発表していますが、
似たような傾向でした。

令和2年5月 更新

The relationship between increased oxidative stress and visual field defect
progression in glaucoma patients with sleep apnoea syndrome
Acta Ophthalmo 96:e479-e484,2018
Yamada E, Himori N, Kunikata H2, Omodaka K, Ogawa H, Ichinose M, Nakazawa T
124名の開放隅角緑内障患者にPSGを施行、SASを合併した15名では109名の非SASより
緑内障の進行が早く、酸化ストレスの指標(dROM, BAP)が有意に高かった。

CPAP therapy reduces oxidative stress in patients with glaucoma and OSAS
and improves the visual field.
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258:939-941,2020
Himori N, Ogawa H, Ichinose M, Nakazawa T
17名のSASを合併した開放隅角緑内障患者(60歳 AHI32)でCPAP前に比べ
CPAP後に緑内障の進行と酸化ストレスの指標(dROM)は有意に改善した。

東北大で行われた2つの研究で、東北大眼科中澤教授にご教示いただきました。
SASは様々な領域の病態の増悪に関与していますが、
開放隅角緑内障におけるSASの関与をきれいに示しています。
緑内障患者ではSASを、SAS患者では緑内障を念頭に置いた診療が必要ですね。

Effect of obstructive sleep apnoea and its treatment with continuous positive
airway pressure on the prevalence of cardiovascular events in patients
with acute coronary syndrome (ISAACC study): a randomised controlled trial.
Lancet Respir Med. 8:359-367 2020.
Sánchez-de-la-Torre M, et al. Spanish Sleep Network
2834名の急性冠症候群にPSGを施行、1264名のOSAをCPAP群と非CPAP群に分け
平均3.3年フォローした。
心血管イベントは各々16%と17%にみられ有意差はなかった。
急性冠症候群の再発予防にCPAPが有効でなかった論文ですが、
眠気がない症例のみでCPAPの使用時間が平均2.8時間と短いため評価は難しいですね。