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慢性閉塞性肺疾患患者の併存疾患の分析からの食事療法対策

日比野智香子 及川まなみ 岡部慎一

【目的】

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主として長期の喫煙によってもたらさる肺の炎症性疾 患で、死亡原因のランキングで今後増加が予測されている。健康日本21でもその認知度の向 上が目標とされたが、外来食事指導料対象疾患でないため、栄養士の知識が少ない。特に COPDに閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が合併するoverlap syndromeは夜間の低酸素 が強く予後が悪いことが知られているが、食事療法の観点からの検討はほとんどなされていな い。そのため、当院のCOPD患者の特性を、OSASの合併の有無で比較検討した。

【方法】

COPDで薬物療法を継続している患者を対象に、喫煙指数(喫煙本数×喫煙年数),一 秒率、5年以上治療継続者のBMI変化、OSAS合併の有無によるBMI,生活習慣病(高血圧症、 脂質異常症、糖尿病)の併存率、外来食事指導料対象疾患の割合を検討した。

【結果】

21名(男性20名73±9歳、女性1名87歳)のCOPD中、現喫煙者2名、禁煙者15名で、喫 煙者の喫煙指数は1132±842 、一秒率は53.9±12.2%、5年以上継続治療している13名の5年 間のBMIの変化は、-1±2.5 kg/m2であった。OSAS合併は12名、そのBMIは28.5±5.7 kg/m2 で、合併なし9名のBMI22.3±3.4kg/m2に比べて有意に高かった(p<0.01)。OSAS合併の有無 での依存疾患の割合は、糖尿病では差がなかったが、脂質異常症では、合併有り42%、合併 無し22%、高血圧症では、合併有り92%、合併無し22%で、共に有意にOSAS合併群で高かっ た。COPDの14%は外来食事指導料対象疾患がなかった。

【考察】

COPDの患者は、喫煙経験が寄与し、薬物治療が安定していれば、体重は維持されて いた。COPD患者は、栄養障害に対しての高エネルギーや高蛋白質食の食事療法が基本であ るが、OSASの合併患者は、肥満、高血圧症、脂質異常症の併存疾患の割合が高く、全身炎 症性の関連性を示しての食事指導が必要と思われた。現在、COPD疾患のみの患者は、食事 指導対象にならないが、患者の食生活を知り、重症化させないための教育が重要である。

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