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糖尿病を併発した女性睡眠時無呼吸患者の検討

日比野智香子 大和田直樹 及川まなみ 岡部慎一 岡部クリニック

【目的】

糖尿病と閉塞性睡眠時無呼吸はその病態が互いに関連しあう可能性が指摘されており、 糖尿病の診療では睡眠時無呼吸の併発を考慮するよう勧告も出されている。 従来の報告は、男性で睡眠時無呼吸が多いため、男性の報告が主で、女性患者での報告は少ない。 今回は女性の糖尿病を併発した睡眠時無呼吸患者の特徴を糖尿病がない睡眠時無呼吸患者と 比較検討し、睡眠時無呼吸を伴う女性患者の糖尿病食事指導にその結果を有効利用することを目的とした。

【方法】

当院で終夜睡眠ポリグラフ検査を施行し、閉塞性睡眠時無呼吸と診断された成人女性患者697名を対象とした。 糖尿病併発の有無で2群に分け、無呼吸低呼吸指数、肥満度(BMI)、18歳からの体重増加量、 高血圧合併の有無、飲酒習慣、喫煙経験を比較検討した。

【結果】

女性睡眠時無呼吸患者名697名中92名(13%)が糖尿病を併発していた。 糖尿病併発群は睡眠時呼吸診断時の年齢が61.2±11.5歳で非併発群56.8±12.7歳に比べ高齢であった。 無呼吸低呼吸指数は糖尿病併発群で34.0±2.7回/時と非併発群27.6±1.0回/時に比べ 無呼吸の重症度が高かった。 BMIは30.0±0.6kg/m2で非併発群26.4±0.2kg/m2に比べ肥満度が高かったが、 18歳時のBMIは併発群22.6±0.4kg/m2、非併発群21.7±0.1kg/m2で、 18歳からの体重の増加量は併発群17.7±1.6kgと、非併発群11.6±0.5kgに比べて有意に増加していた。 高血圧症の合併率は併発群で68%、非併発群で41%と有意に併発群で高かった。 飲酒習慣は併発群39%、非併発群42%、喫煙経験者は併発群22%、非併発群22%で、 飲酒と喫煙の習慣には有意差はなかった。

【考察】

女性睡眠時無呼吸患者の13%に糖尿病が認められ、糖尿病を併発した睡眠時無呼吸患者は肥満度が高く、 高血圧の合併が多く、無呼吸の重症度も高かった。18歳以降の体重増加が糖尿病併発群で大きかったが、 喫煙と飲酒習慣には有意差は認められず、喫煙飲酒以外の生活習慣が体重増加の違いに影響していた 可能性が高いと思われた。 睡眠時無呼吸の治療法である在宅持続気道陽圧療法では治療によって有意に体重が増加することが 報告されており、食習慣を含め体重を増えないようにする生活習慣の療養指導が重要であると思われた。

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