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閉塞性睡眠時無呼吸を併発した2型糖尿病患者における食事指導介入の睡眠時無呼吸への効果

日比野智香子 大和田直樹 及川まなみ 岡部慎一岡部クリニック

【目的】

2型糖尿病患者で多くみられる閉塞性睡眠時無呼吸はインスリン抵抗性と耐糖能障害 との関連性が指摘されているが、血糖コントロールの睡眠時無呼吸に及ぼす効果については 明らかにされていない。今回は、閉塞性睡眠時無呼吸を併発した2型糖尿病患者で食事指導 介入前後の体重、血糖コントロールの変化と睡眠時無呼吸の重症度との関連を検討し、閉塞 性睡眠時無呼吸を併発した2型糖尿病患者に対する食事指導介入の必要性を検証した。

【方法】

在宅持続気道陽圧療法(CPAP)を施行している重症閉塞性睡眠時無呼吸で、糖尿病 を併発し当院で食事指導介入を受けた患者を対象とし、食事指導1年前、食事指導時、食事 指導1年後の体重、HbA1cの変化と睡眠時無呼吸の重症度の指標との関連を検討した。睡眠 時無呼吸の重症度の指標としては、変動圧でCPAPを施行している患者ではCPAP機器から 得られた平均圧を、固定圧でCPAPを施行している患者ではCPAP機器から得られた無呼吸 低呼吸指数を用いた。

【結果】

対象は31名(男性29名・女性2名 58±11歳 無呼吸低呼吸指数65±23回/時)。食事 指導1年前・食事指導時・食事指導1年後の体重は、89.5±3.3kg・89.7±3.4kg・88.6±3.4kg、 HbA1cは、7.2±0.2%・7.7±0.1%・7.4±0.2%で、食事指導で体重とHbA1cは有意に低下した (p<0.05)。変動圧でCPAPを施行している患者のCPAPの平均圧は8.2±0.4cmH2O・7.9±0. 5cmH2O・8.0±0.5cmH2O、固定圧でCPAPを施行している患者の無呼吸低呼吸指数は2.2±0. 5・2.0±0.5・1.7±0.4と共に有意な変化は得られなかった。また、体重の変化とCPAPの平均 圧、無呼吸低呼吸指数の変化の間に有意な相関はみられなかった。

【考察】

閉塞性睡眠時無呼吸を併発した2型糖尿病患者に対する食事指導介入で体重と血糖 のコントロールは改善したが、睡眠時無呼吸の指標の改善は見られなかった。今回、睡眠時 無呼吸の指標の改善が得られなかった要因としては、食事指導による体重減少が有意ではあ ったが平均1.1kgとわずかであったことや無呼吸の重症度の指標としたCPAP機器から得られ た平均圧や無呼吸低呼吸指数が鋭敏な指標でなかった可能性が考えられた。

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